お彼岸――向こう岸を思う
彼岸は、亡き人を思う季節であると同時に、煩悩のこちら岸にいる私が、向こう岸を聞く時間です。

春と秋のお彼岸になると、お墓参りをする方が増えます。季節の節目として、日本の暮らしに深く根づいています。
「彼岸」は、文字どおりには「かの岸」。迷いのこちら岸に対して、悟りの世界を向こう岸として表す言葉です。
向こう岸は、どこか遠い場所か
彼岸を、死んだ後に行く遠い場所の話だけにすると、今の生活とは離れてしまいます。
むしろ、怒りや欲や思い込みの中にいる私が、そこから離れた世界を聞く。そのことによって、今いるこちら岸の姿が見えてきます。
亡き人をご縁に
お墓の前に立つと、自分も同じように限りある身であることを思います。普段は先送りしている問いが、少し近くなります。
彼岸会は、亡き人をご縁に、今の私の生き方を聞き直す時間です。
向こう岸を思うことは、こちら岸にいる自分を見ることでもあります。彼岸の季節に、少し立ち止まってみませんか。
淨泉寺 住職 釋延洋

