お数珠――一本の糸に支えられて
数珠の玉は一本の糸でつながっています。手の中の仏具から、私を支える見えないつながりを考えます。

お数珠は何のために持つのですか、と聞かれることがあります。
珠の数や形にはさまざまな説明がありますが、私は手に取るたび、珠をつないでいる一本の糸のことを思います。外からは目立たないけれど、糸がなければ珠はばらばらになります。
見えないものに支えられる
私たちの暮らしも、目立つものだけでできているわけではありません。家族、地域、仕事、亡き人、名前も知らない人の働き。普段は見えないつながりに支えられています。
自分一人で立っていると思うときほど、その糸は見えなくなります。
握る手を止める
数珠を手にして合掌すると、何かをつかもうとしていた手が一度止まります。
手に入れるための手ではなく、合わせる手になる。その小さな姿勢の変化が、自分の向きを変えることがあります。
数珠はお守りとして持つだけのものではなく、仏前で手を合わせる私の姿を支える仏具です。一本の糸を思いながら、静かに手にしてみてください。
淨泉寺 住職 釋延洋
